39 生成AIと対話型AIのキホン

John Hurley and Michael Hallissy

これまでの経緯

2022年の11月後半、世界に「ChatGPT」という衝撃が走りました。これは「GPT-3.5」という言語モデルをベースにしたAIチャットボットで、自然な言葉(自然言語処理)を使って、まるで人間と話しているようなやり取りができるツールです1

実は、こうしたツール自体は以前からいくつか存在していました。でも、ChatGPTがこれまでのものと決定的に違ったのは、一気に世の中の関心を奪い、人々の想像力をかき立てた点です。リリースからわずか1週間でユーザー数は100万人を突破しました。なぜこれほど騒がれたのかといえば、驚くほど「人間らしい」文章が書けるからです。教育現場や仕事、あるいは日常のあり方をも変えてしまうかもしれない……そんな可能性を誰もが感じ取ったのです。質問への回答はもちろん、メールやエッセイの作成、さらにはプログラミングのコードまで書いてくれる、まさに「頼れる助手」の登場でした2

この背景にある「GPT-3(Generative Pre-trained Transformer-3)」は、膨大なデータ(なんと4,990億ものデータポイント、容量にして800GB!)をディープラーニングで学習させた「大規模言語モデル(LLM)」と呼ばれるものです。その規模は、これまでのモデルの100倍という桁違いの大きさ3。ChatGPTは、この巨大なモデルを相手に「人間のような会話」をすることを可能にしました。

「大規模言語モデル」と言われるとなんだか難しそうですが、仕組み自体は、スマホのメッセージ入力に出てくる「予測変換(オートコンプリート)」に似ています。文章の「次の言葉」に何が来るかを予測し、それを繰り返すことで、スラスラとした長い文章を作り出しているのです。

生成AIのタイムライン

ChatGPTが現れてからというもの、生成AIの世界は目まぐるしいスピードで進化し続けています(上の図にもその流れをまとめてみました)。2022年11月以前は、「生成AI」なんて言葉を知っている人はほとんどいませんでした。ところが今や「ChatGPT」は、特に教育に携わる人々にとって、日常的に使われる言葉になっています。

こうしたテクノロジーはこれからも進化を続け、教育現場にいる皆さんにとって、さらに手放せない便利な道具になっていくはずです。

そもそも生成AIって、いったい何者?

「生成AI」という言葉をよく耳にしますが、具体的には何ができるのでしょうか? 一言でいうと、画像、文章、音声、動画など、さまざまな「新しいコンテンツ」をゼロから作り出せるシステムのことです。

例えば、こんなことができます。

    • 画像:誰かの顔写真をもとに新しい肖像画を描いたり、実在する景色をもとに、この世にない幻想的な風景を作り出したりできます。
    • 文章:ニュース記事や詩、さらには映画の脚本まで書けてしまいます。もちろん、ある言語から別の言語への翻訳だってお手の物です。
    • 音声:まったく新しい曲を作ったり、リアルな効果音や、まるで人間が喋っているようなナレーション(声の演技)まで生成できるんです4

できることは今この瞬間もどんどん増えていますが、まずは小難しく考えるのはやめましょう。

手始めに、生成AI自身に「ChatGPTという名前には、どんな意味があるの?」と尋ねてみましょう。

ChatGPTという名前には、どんな意味があるの?

「ChatGPT」という名前、ちょっと不思議ですよね。 そこで、3つのAIツール(Bing Chat、ChatGPT 3.5、Google Bard)に、こんな質問(プロンプト)をしてみました。

あなたは教育におけるAIの専門家です。10歳から14歳くらいの子どもたちに向けて、ChatGPTが何なのか、そしてその名前の由来を説明してください。『Chat(チャット)』という言葉がなぜ入っているのか、教育現場でどう役立つかの例も交えて、みんなが納得するようなワクワクする文章で書いてみてね

まずは、Bing Chatが作ってくれた答えから見てみましょう。

「ChatGPT」という名前は、「Chat」と「GPT」という2つの言葉からできています。「Chat」は、友達と仲良くおしゃべりするっていう意味。そして「GPT」は「Generative Pre-trained Transformer(ジェネレーティブ・プリトレインド・トランスフォーマー)」の略。なんだか難しそうに見えるけど、要するに「文章や画像、音なんかを新しく作り出すのが、とっても得意なんだよ!」っていう意味なんです。

次は、ChatGPT本人の答えです。

どうして「ChatGPT」っていう名前なのか、気になりますよね。 まず「Chat」がついているのは、このAIが人間とおしゃべりするのが大好きだから。質問を投げかけたり、何かテーマを教えてくれれば、一生懸命考えて、ちゃんと筋の通った答えを返してくれます。まるで「何でも知っている物知りな友達」と話しているような感覚になれるはず!しかも、いろんな国の言葉でおしゃべりできるから、世界中の子どもたちにとって最強の助っ人になれるのですよ。
もう一つの「GPT」の部分は、ちょっと複雑です。本当は「Generative Pre-trained Transformer」の略なのだけど、こんな早口言葉みたいな名前は覚えなくて大丈夫! 簡単に言うと、みんなが勉強するのと同じように、このAIも山のような本や記事、ウェブサイトを読んで、たくさんのことを学んできたっていう意味。いわば、ものすごく長い期間学校に通って、あらゆる科目の専門家になった,という感じですね。

Bard(バード)はこんなふうに答えてくれました。

ChatGPTは「大規模言語モデル」と呼ばれる人工知能(AI)の仲間です。これは、とてつもない量の文章やプログラムのコードを学習した、いわば「超物知りなAI」だということ。だから、文章を作ったり、言葉を翻訳したり、クリエイティブな物語を書いたり、みんなの疑問に詳しく答えたりするのが得意なのです。

じゃあ、どうして名前に「チャット」って付いているのでしょう? それは、人間とおしゃべり(会話)するために作られたからです! どんなことでも質問してみてください。ChatGPTは、精一杯みんなの役に立つ答えを返そうと頑張ってくれます。物語や詩、プログラミングまで書いてくれるので、楽しみながら使ってみてくださいね。

調べてみよう!

生成AIをめぐる熱い議論が起きていることをご存じですか?

これらのツールを使えば、私たちが「プロンプト(指示)」を書き込むことで、チャットボットと対話(これが「対話型AI」ですね)ができるようになります。この本でも触れていますが、教育の現場で先生や生徒、事務スタッフを助けてくれるツールは、今この瞬間もどんどん増えています。
「対話ができる」という強みを、自分ならどう活かせるか想像してみてください。例えば、調べ学習のテーマについて相談したり、面接の練習相手になってもらったり、授業のアイデアやレポートの構成を一緒に考えたり……。複数のAIを使い比べて、それぞれの回答を「いいとこ取り」してみるのも面白いですよ。

こうしたツールは、私たちの「人間としての力」と「機械の力」を組み合わせることで、創造性や効率をグンと引き上げてくれる「頼れる助手」になります。ただ、ひとつだけ忘れないでください。AIが出してきた答えが本当に正しいかどうか、自分の目でしっかり確かめること(クリティカル・エバリュエーション)がとても大切です。
まずは楽しみながら、AIとの「会話のコツ」を掴んでみてください。それがあなたや生徒たちにとって、どんなふうに役に立つか、ぜひ実際に確かめてみましょう!

数字で見る生成AIのすごさ5

次のグラフ6は、2022年11月から2023年5月にかけて、ChatGPTがどれほど急激に広がったかを示したものです。驚くべきことに、ChatGPTはリリースからわずか1週間で、ユーザー数が100万人を突破しました。これがどれくらいすごいことか、他の有名なサービスと比べてみましょう。同じ「ユーザー100万人」というゴールにたどり着くのに、Netflix(ネットフリックス)は3年半、Twitter(現X)は2年もかかっていたのです7。ChatGPTがいかに異例のスピードで私たちの生活に入り込んできたかがわかりますよね。

CHATGPT統計 by tooltesterはCC BY 4.0の下でライセンスされています。このライセンスのコピーを表示するには、https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/?ref=openverseを訪問してください。

ChatGPTの人気は2023年5月に一度ピークを迎えましたが、その後もずっと高い人気を保っています。それだけでなく、Bing ChatやBardといった他の生成AIツールも、どんどん勢いを増しています。例えばBing Chatは、2023年3月にマイクロソフトがChatGPTの技術を取り入れたことで、一気に注目を集めるようになりました。Bardも同じように、着実にファンを増やし続けています。


1 https://www.forbes.com/sites/bernardmarr/2022/12/21/chatgpt-everything-you-really-need-to-know-in-simple-terms/?sh=16674aadcbca

2 https://www.zdnet.com/article/what-is-chatgpt-and-why-does-it-matter-heres-everything-you-need-to-know/

https://hai.stanford.edu/news/how-large-language-models-will-transform-science-society-and-ai

https://www.weforum.org/agenda/2023/02/generative-ai-explain-algorithms-work/

https://research.aimultiple.com/generative-ai-applications/

https://www.tooltester.com/en/blog/chatgpt-statistics/

https://bootcamp.uxdesign.cc/chatgpt-vs-bing-chat-which-is-better-2e46fa821d7d

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生成AIと対話型AIのキホン Copyright © 2024 by John Hurley and Michael Hallissy is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License, except where otherwise noted.

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